逆流性食道炎の治療費の相場や平均入院期間
もし、逆流性食道炎になってしまった場合、まず最初に気になるのは治療費(手術費なども含む)や入院期間のことだと思います。「どの位の治療費がかかるのか?」、また、「どの位の入院が必要なのか?」…などなど。このページでは、逆流性食道炎で病院に入院した場合にかかる治療費の平均金額(治療費の相場)と平均入院期間(平均入院日数)を見易い表にしてまとめていますので、ひとつの目安としてお役立てください。その他にも、逆流性食道炎の治療に役立つ情報などもまとめています。
逆流性食道炎で入院した場合にかかる治療費と入院期間 | |
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逆流性食道炎で入院した場合の平均入院日数 → | 約12日 |
逆流性食道炎で入院した場合の一日あたりの治療費 → | 約3万5千円 |
国保(国民健康保険)などに加入していて、 医療費が3割負担の場合の一日あたりの治療費 → | 約1万500円 |
逆流性食道炎で入院した場合の治療費総額 (平均入院日数 x 一日あたりの治療費) → | 約42万円 |
国保(国民健康保険)などに加入していて、 治療費が3割負担の場合の治療費総額 → | 約12万6千円 |
高額療養費制度が適用される場合の治療費総額 (データの数値は、一般所得区分、70歳未満の条件で算出) → | 約8万2千円 |
※ 掲載している上記のデータは、厚生労働省が調査し、定期的に発表している「医療給付実態調査」や「患者調査」などのデータを参考に独自に算出しています。データの数値はあくまで平均値ですので、参考程度に留めてください。実際は、患者さんの病気の状態や年齢などでも、数値は大きく変わってきます。また、金額の数値に関しては、先進医療の費用や食事代、差額ベッド代などは含めていませんので、あらかじめ、ご了承ください。
【逆流性食道炎とは?】
逆流性食道炎とは、胃液が胃から食道へ逆流し、炎症を起こしてしまう病気です。逆流性食道炎の漢字の読み方は、「ぎゃくりゅうせいしょくどうえん」と読みます。食道は、口から摂取した食べ物や飲み物を胃に送るための通り道です。通常の状態ならば、食道と胃の間にある、下部食道括約筋の働きにより、胃の胃液が食道へ逆流しないように閉まっています。(下部食道括約筋は、食べ物や飲み物が近づくと、食道と胃の間をゆるめて、胃に流れるようにしています。)
しかし、何らかの原因により、胃液が食道へ逆流してしまうと、胃液の強い酸により、食道の粘膜が炎症を起こしてしまうのです。胃自体には、胃液の強い酸の影響を受けないように作られていますが、食道はそのようには作られていません。そのため、胃液が逆流してしまうと、炎症を起こしてしまうのです。
逆流性食道炎の病気は、年々、増加傾向にあります。これは、食生活が欧米化したことや不摂生な生活習慣、ストレス社会などが影響していると考えられています。
【逆流性食道炎の症状】
逆流性食道炎の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 胸焼けをよく感じる。
- 胸焼けが続いている。
- 胸がつかえたように感じる。
- 喉がつかえたように感じる。
- 呑酸(どんさん)を感じる。※1
- 胃がもたれる。
- 胃が重苦しく感じる。
- 胃に痛みを感じる。
- お腹に張りを感じる。
- ゲップがよく出る。
- 咳がよく出る。※2
- 喘息に似た症状が出る。※2
- 耳の後ろ辺りや背中などに痛みを感じる。
- よく眠れない。不眠。
これらの症状のうち、いくつか該当する症状が見られる場合は、逆流性食道炎の疑いがあります。早めに病院に行って診察を受けましょう。
※1……呑酸とは、胃液が口内に逆流する状態のことを言います。酸っぱい胃液が口内に込み上げてくるような感じです。
※2……咳がよく出たり、喘息に似た症状が出るのは、逆流した胃液により、喉が炎症したために起こると考えられています。
【逆流性食道炎になりやすい人の特徴】
逆流性食道炎になりやすい人には、いくつかの特徴が見られます。その特徴は、以下の通りです。
- 高脂肪高カロリーの食事をよく摂る人。
- 猫背の人。
- 太っている人、肥満の人。
- ピロリ菌の除去治療を受けたことのある人。
- 高齢の人。
- 妊婦さん。
- いつもお腹を締めつけている人。
では、上記の項目の理由を上から説明して行きます。
「高脂肪高カロリーの食事をよく摂る人」ですが、これは、高脂肪高カロリーの食事は、胃酸の分泌が盛んになるためです。
「猫背の人」ですが、猫背の姿勢は変にお腹を圧迫している格好なので、胃酸が逆流しやすい状態になっているためです。
「太っている人、肥満の人」ですが、太っている人や肥満の人は、お腹の周りに脂肪が増えます。このお腹周りの脂肪が増えると、胃が圧迫され、胃酸が逆流しやすい状態になります。また、お腹周りの脂肪により、下部食道括約筋がうまく機能しなくなる場合があります。
「ピロリ菌の除去治療を受けたことのある人」ですが、ピロリ菌自体は、胃がんや胃潰瘍などを引き起こす主な要因のひとつのため、ピロリ菌の除去治療を受ける人は多くなってきています。ピロリ菌は、胃酸の分泌を抑える働きがあり、ピロリ菌の除去治療を受けると、胃酸の分泌が盛んになるためです。
「高齢の人」ですが、年齢を重ねるとともに、下部食道括約筋の働きが弱まるためです。また、高齢になると、食道裂孔もゆるくなってきます。このため、胃酸が逆流し易いのです。
「妊婦さん」ですが、妊娠時のお腹の子供が大きくなるにつれ、胃が圧迫され、胃酸が逆流しやすい状態になっているためです。
「いつもお腹を締めつけている人」ですが、いつもベルトをきつく締めていたり、いつもお腹周りを圧迫するような格好(服装)をしていると、胃が圧迫され、胃酸が逆流しやすい状態になっているからです。
【逆流性食道炎の症状と似ている他の病気】
逆流性食道炎の症状と似ている他の病気がいくつかあります。その症状が似ているという他の病気は、以下の病気です。
- 食道がん
- 狭心症
- 睡眠障害
- バレット食道
では、上記の項目の病気について、上から説明して行きます。
「食道がん」ですが、逆流性食道炎に似た症状が見られる場合は、食道がんの検査を受けた方が良いでしょう。
「狭心症」ですが、逆流性食道炎で起こる胸焼けに似ています。
「睡眠障害」ですが、睡眠障害になると、不眠によるストレスなどで、胃酸が逆流し易くなる場合があります。
「バレット食道」ですが、逆流性食道炎の合併症とも言える病気です。バレット食道は、食道の下部にある粘膜が、扁平上皮から円柱上皮に変化してしまう症状です。この変化に影響を与えているのが、逆流性食道炎と考えられています。なぜ、変化に影響を与えているのかと言うと、何度も逆流した胃酸が食道粘膜を炎症させ、身体が何度も食道粘膜を修復している内に扁平上皮が円柱上皮に変化してしまうためです。
【逆流性食道炎の治療方法】
逆流性食道炎の治療は、薬を使用するのが一般的な治療方法です。逆流性食道炎で使用する主な薬の種類は、PPI(プロトンポンプ阻害薬)や、H2ブロッカー(ヒスタミン受容体拮抗薬)です。PPIとH2ブロッカー、どちらも、胃酸の分泌量を抑制する効果があります。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)
PPI(プロトンポンプ阻害薬)は、プロトンポンプに結合して、胃酸の分泌量を抑制します。
H2ブロッカー(ヒスタミン受容体拮抗薬)
H2ブロッカー(ヒスタミン受容体拮抗薬)は、薬の成分であるヒスタミンが、受容体と結合し、胃酸の分泌量を抑制します。
生活習慣の改善
その他の逆流性食道炎の治療方法としては、生活習慣を改善することです。改善ポイントは、「食生活」や「普段の姿勢」、「お腹を圧迫しない服装を心がける」……などです。
手術による治療
もし、薬や生活習慣の改善でも治療効果がみられない場合や、何度も再発してしまう場合は、手術による治療を行います。
【逆流性食道炎は再発しやすい】
逆流性食道炎は再発しやすい病気です。治療を行ってから半年後の逆流性食道炎の再発率は、実に約90%と非常に高いです。逆流性食道炎の治療をし、本人の自覚症状がなくなっても、食道の炎症が残っている場合があります。実際、治療薬をしばらく飲み続ければ、自覚症状はほとんどなくなります。
しかし、逆流性食道炎は再発率が高く、治ったと思っても食道の炎症が残っている場合がありますので、自己判断せずに医師の指示や判断を仰ぎ、継続的に治療を行うことが大事です。
逆流性食道炎が治っていないまま、自己判断で薬を飲むのをやめて放っておくと、食道がんやバレット食道などの合併症になってしまう場合もありますので、注意が必要です。
【逆流性食道炎の検査の種類】
逆流性食道炎かどうかを検査するには、主に問診や内視鏡検査を行います。内視鏡検査は、胃カメラなどを使い、炎症があるかどうかを調べます。
【逆流性食道炎治療の名医がいる病院に関する情報サイト】
逆流性食道炎の治療に対して、腕のいい名医がいる病院に関する情報をまとめているサイトを紹介します。もし、自分の住んでいるところから通える範囲に名医がいる病院がある場合は、そちらで治療を受けることをおすすめします。
逆流性食道炎治療の名医関係
【逆流性食道炎の予防方法】
逆流性食道炎の予防方法としては、以下のものがあります。
- 胃酸の分泌を活発にさせないために、腹八分目の食事を心がける。
- 胃酸の分泌を活発にさせないために、高カロリー高脂肪の食事などを控える。
- 胃酸の分泌を活発にさせないために、お酒や炭酸飲料などを控える。
- 胃での消化を助けるために、食事は、よく噛んで食べる。
- 普段から姿勢に気をつける。(お腹を圧迫しないように前かがみや猫背をやめる。)
- ベルトや着るもので、お腹を締め付けないようにする。
- 睡眠時は、お腹を圧迫しないように、腹部から上の部分を高くして寝る。
- 適度に運動を行う。
- 趣味などで適度にストレスを発散する。
基本的には、健康に気をつけた生活をしていれば、自然と逆流性食道炎の予防になりますし、その他の病気の予防にもなります。